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台北展覧会
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台北展覧会 / 台北,台湾 / 2012

 

<都市空間ともてなし>

東京という都市は、皇居周辺の中心地区のように、高層ビルがお行儀よく建ち並ぶ場所ばかりではない。もちろん昨今の大規模オフィスビルには、美術館や多くのレストラン、ショップが並んでいて美しく楽しい。その清潔さや整然とした佇まいには、ある種のホスピタリティがあると言えるだろう。しかし、人が心を開いて素顔で楽しむ空間ではない。

 

そういう街並みをすり抜けて一歩裏手に入ったら、すぐに統一感のないバラバラな高さの建物や駐車場に取り囲まれる。その統一感のない道空間が、実は都市のほとんどと言っていい。また、東京が戦後急激に成長を遂げた名残として、木造の住宅が高密度にひしめく地域もあちこちにあって、その面積も驚くほど広い。そこに広がる迷路のような路地は、家々の生活が外ににじみ出る、懐かしく馴染み深い空間であり、そこに歩き入ることを好む人は多い。

日本人にとって、「もてなし」の最たる空間は茶室である。客は門をくぐって敷地内に入り、露地を歩いて庭を散策した後、小さな躙り口から体をかがめて1坪から2坪の茶室に入る。そこは2,3人が入れば一杯になるような、天井も低い、極小の空間である。しかし、そこにあるすべての要素は一見簡素に見えても、亭主によってその客のためにきめ細かくしつらえられた、心のこもった世界である。ともに季節を楽しみ、大いなる自然に抱かれた小さな存在になることを喜ぶ場所である。

 

いまや成熟した国や都市には、観光戦略が欠かせない。けれど「都市空間」が提供できる「もてなし」とは、一体どんなものなのだろうか。

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